五十肩(正確には肩関節周囲炎)では、夜寝る時に痛くて眠れないという訴えをよく聞きます。

今回は、痛み止めが効かない、または使えない場合の肩の夜間痛に対して、試していただきたい対処法をご紹介します。

レッドフラッグの除外

最初にお断りしておきますが、肩痛にも色々な原因があり、厳密な診断は医師にしかできません。中でもレッドフラッグといわれる危険な肩痛(腫瘍、感染症、骨折など)は医療機関でしか扱えません。

安静にしていても強い痛みがある、転倒後に痛む、癌の既往がある、発熱がある、体重減少があるなどの場合は、レッドフラッグの可能性がありますので、医療機関の受診をお勧めます。

肩の夜間痛の原因

いわゆる五十肩の夜間痛の原因は、滑液包の炎症、腱板筋の過緊張(スパズム)、関節内圧の上昇など諸説あります。

これらが組み合わさっているケースもあるのではないでしょうか。

肩の夜間痛の対処法

肩の夜間痛の対処法としては、寝る時の姿勢の工夫(ポジショニング)、保温、周囲の筋肉のマッサージをお勧めします。

【あお向きのポジショニング】

まず、寝る時の姿勢を工夫します。

仰向きの場合は、バスタオルを細長くたたんで、下の写真のように肩からヒジの下に入れます。ヒジが高くなることで肩への負担を軽減することができます。

さらに下の写真のように、クッションや大きめのバスタオルをたたんだものを胸に抱きます。こうすることで、肩が内側にひねられ過ぎるのを防ぎます。

【横向きのポジショニング】

横向きの場合は、下の写真のように、さらに大きめのタオルや抱きマクラなどを抱いて、肩が内側に倒れすぎるのを防ぎます。

痛い方を上にするのが基本ですが、寝返りなどで逆になる場合は、高めのマクラの方が負担が少ないです。

【ホットパック】

温めると痛みが和らぐケースは多いです。市販のレンジでチンするホットパックがおススメです。

単純に痛む場所に乗せて下さい。(低温やけどにはご注意ください)

【周囲の筋肉のマッサージ】

周囲の筋肉のマッサージも有効です。最もやりやすいのは下の写真の筋肉(棘下筋 きょくかきん)です。

肩甲骨の真裏にテニスボールを置いて、ご自分の体重をかけてマッサージします。

下が柔らかければソフトな刺激に、硬ければハードな刺激になりますので、タオルなどで痛気持ち良い程度に調整して下さい。

腱板筋である棘下筋の過活動が抑制されると同時に、広汎性侵害抑制調整による鎮痛(痛みで痛みを抑える)が期待できます。

それでも眠れないという方へ

五十肩の症状や痛みの原因には色々なケースがあります。セルフケアで効果のない方は専門家にご相談ください。

執筆者 : 益田尚
鍼灸師(国家資格)・コンディショニングコーチ
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