ぎっくり腰とは、急性の腰痛の俗称で、ちゃんとした定義のあるものではありません。
ここでは、いわゆるぎっくり腰を3つのタイプ(椎間関節性、椎間板性、筋・筋膜性)に分けてご説明します。
今回は、そのうちの筋・筋膜性腰痛についてお伝えします。
レッドフラッグの除外
最初にお断りしておきますが、腰痛には色々な原因があり、厳密な診断は医師にしかできません。中でもレッドフラッグといわれる危険な腰痛(腫瘍、感染症、骨折など)は医療機関でしか扱えません。
安静にしていても強い痛みがある、転倒後に痛む、癌の既往がある、発熱がある、体重減少があるなどの場合は、レッドフラッグの可能性がありますので、医療機関の受診をお勧めます。
筋・筋膜性腰痛の特徴
筋・筋膜性腰痛の場合は、「腰を丸めると痛む」「腰を反らせると痛む」いずれのパターンもあります。
「手を伸ばした拍子に痛くなった」「かがんだ時に痛くなった」などのエピソードは筋・筋膜性腰痛が疑われます。
また、椎間関節性や椎間板性に合併して筋・筋膜性腰痛が起きていることも多いです。

筋・筋膜性腰痛の原因
筋・筋膜性腰痛とは、腰周囲の筋肉や筋膜のトラブルです。筋肉や筋膜が傷んだり、周りの組織との間に滑りの悪さが起きていると考えられています。
下の図の緑✖のような筋肉の終点や、青✖のような筋肉と筋肉の間にトラブルが多い印象です。
また、椎間関節編でご紹介した腰部多裂筋のトラブルも多いです。

その背景には、猫背姿勢や股関節が十分動かず、腰が大きく曲がるような身体の使い方があると考えられます。
筋・筋膜性腰痛の対処法
病院では痛み止めの注射や処方を、治療院では患部周囲の緊張を和らげる目的の手技やはりなどを行うのが一般的です。

ご自分でできる対処法
ご自分でできる筋・筋膜性腰痛の対処法として、股関節周囲のマッサージがあります。
痛む姿勢によってマッサージする筋肉が違います。(自己責任でお願いします。痛みが強まる場合は行わないで下さい)
【丸めると痛む方】
腰を丸めると痛む方は、下図の青い筋肉をイメージしてお尻や太ももの裏をマッサージして下さい。

【反らせると痛む方】
腰を反らせると痛む方は、下図の青い筋肉をイメージして股関節の前や太ももの前をマッサージして下さい。

マッサージ方法は、手でもテニスボールなどを使ってもかまいません。硬いところを見つけたらそこを痛くない程度の圧で刺激して下さい。
また、動くときはお腹に力を入れて、腰を動かさずに股関節を動かすように意識してみて下さい。
最後に
いかがだったでしょうか?
組織の損傷(骨折や捻挫、肉離れ)が疑われる場合は、安静や医療機関の受診が原則ですが、それ以外で、多少動かせる場合は、試してみて下さい。
他の2つのタイプの腰痛については、下のリンクからどうぞ。
執筆者 : 益田尚 鍼灸師(国家資格)・コンディショニングコーチ 腰痛や肩こりでお悩みの方はこちらへどうぞ